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トピックス

雨をテーマにした絵画

お久しぶりです、皆さんいかがお過ごしでしょうか?
新潟美術学園トピックス、久々更新です!

近畿地方は早くの梅雨入りをしたそうで、どんどん梅雨の季節が近づいてきました。
そこで今回ご紹介するのは、「」をテーマにした絵画です。

日本人作家の作品

福田 平八郎『雨』

雨の要素どこにあるの?と思う方もいるかもしれませんが、瓦をよく見てみてください!ポツポツと雨が降り出して、雨の粒が瓦に落ち始めた様子が描かれています。屋根瓦の湿った質感・色、それだけで雨が降り出しそうな瞬間を巧みに表現しています。

福田 平八郎は、大分県出身の日本画家(1892年-1974年)で、生涯を通して「水」の動き、感覚を追究した画家でもあります。この作品『雨』は東京国立近代美術館に所蔵されています。

Photo © https://www.yamatane-museum.jp/fukuda/interview/index3.html

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歌川広重『大はしあたけの夕立』

江戸時代の浮世絵師・歌川広重、この名前をご存知の方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?この作品は、名所江戸百景のうちの一枚で、数多くの作品の中でも最も有名な作品の一つです。

「大はし」は日本橋の浜町から深川六間堀に当時かかっていた橋。激しい夕立に見舞われて、雨を防ごうと慌てている人々の様子が細かに描かれています。雨を無数の細い線で表すことで夕立の激しさを臨場感たっぷりに伝え、背景はぼかすことで遠近感も表現された傑作です。

この作品はポスト印象派の画家であるゴッホも模写しています。

Photo © 歌川広重 – Online Collection of Brooklyn Museum, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=226069

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鳥居言人(五代目 鳥居清忠)『雨』

大正時代から昭和時代に活躍した浮世絵師、日本画家、舞台美術家。鳥居流は江戸に創立された浮世絵と版画の流派で、その5代目。初めは父鳥居清信のもとで歌舞伎の絵看板などの技術を学び、その後日本画家である小堀鞆音の元で大和絵や有職故実を習得、その後鏑木清方のもとで美人画を学んだそうです。

雨が降り出し、傘をさしたところの美人画。
白い雨の線が構図を大胆に切断しています。

この作品は、千葉市美術館、石川県立美術館に所蔵されています。

Photo © https://ja.ukiyo-e.org/image/ohmi/Torii_Kotondo-Twelve_Aspects_of_Women-7-Rain-011030-04-06-2011-11030-x2000

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外国人作家の作品

フィンセント・ファン・ゴッホ『雨の大橋』

先に紹介した歌川広重の作品『大はしあたけの夕立』のゴッホの模写作品です。1887年に制作された作品で、ちょうどこの時期は、フランスでジャポニズムが流行った時期です。(以前トピックスで紹介しました♪)ゴッホも日本趣味に強く憧れを持った画家の一人で、日本独特の構図や平面的な色彩構成に強く影響を受けました。

この作品は油彩で描かれ、ゴッホはこういった浮世絵の模写をすることで、独特な色彩感や構図を自分のものにして行きました。西洋絵画と特に異なるのは雨の描写で、雨を線で表す、というのは錦絵独自の手法であり、この斬新な手法にゴッホも強く惹かれたのではないでしょうか?

Photo © https://media.thisisgallery.com/works/gogh_22

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ギュスターブ・カイユボット
『パリの通り、雨』

フランス印象派の画家。彼が描いたこの作品は実はかなり大きなサイズの作品で、人物はほぼ等身大で描かれています。雨そのものは描かれていませんが、傘をさして行き交う人々、濡れた通りの石畳が代わりに雨を表現しています。

Photo © ギュスターヴ・カイユボット – 5wEUCOlEf-EaVQ at Google Cultural Institute maximum zoom level, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=21909139

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ジャコブ・カミーユ・ピサロ
『テアトル・フランセ広場、雨の効果』

印象派の画家カミーユ・ピサロの作品で、彼はテアトル・フランセ広場をテーマとした作品をいくつか描いており、その一つ。「雨の効果」という題名にもある通り、雨によって道・通りが濡れて、建物や人・馬車が反射し、鏡のように写っている様子を描いた作品。カイユボットと同じく雨そのものではなく、風景・描く対象を利用して雨降る様子を表しています。

Photo © https://www.wikiart.org/fr/camille-pissarro/place-du-theatre-francais-effet-de-pluie-1898

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いかがでしたか?西洋と日本で雨の表現の仕方が異なるのはとても興味深いですね!

曇りがち・雨が続く天気だと気分が下がってしまうときもありますが、視点を変えて、雨も絵の題材にして、この梅雨の時期を楽しみましょう!