みなさん、クロード・モネ、という画家をご存知ですか?
前回ジャポニズムについて少しだけ記事後半に触れましたが、クロード・モネもジャポニズムの影響を受けた画家の一人です。

クロード・モネ Claude Monet
印象派を代表するフランスの画家。
代表作「印象・日の出」は印象派の名前の由来となっています。
連作である巨大サイズの「睡蓮」も有名な作品です。
「睡蓮」はパリ「オランジュリー美術館」所蔵してあります。
モネは光の画家とも呼ばれ、光の変化と季節の移り変わりを捉えるために戸外制作を中心として作品を作りあげていました。
(色は私に一日中とりついて離れない、それは喜びと苦しみ)
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ルーアン大聖堂 移り変わる光の影響を捉えるために、違う時間帯・季節、わずかに異なる3つの場所から連作として書き続けた
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ジャポニズムとは
クロード・モネをはじめとした、多くの画家が影響を受けたジャポニズムとはなんなのでしょうか?
1854(安政元)年3月に日本が開国したのを皮切りに、日本の美術作品が海外に流れ、1867年に開かれたパリ万国博覧会では日本も初めて参加し、北斎・国貞・芳幾・芳年といった作家の浮世絵なども出品され、日本の浮世絵や美術工芸品を収集する日本趣味が流行り、パリを中心に日本ブームが起こったのが始まりです。
最初は、日本的なモチーフを作品に取り込む程度だったジャポネズリー(Japoneserie)だったのが、段々と日本美術の空間表現や構図や色彩などを研究し、新しい視覚表現を追求するジャポニズムへと変化しました。
写真は、日本の美術商、林忠正が執筆した絵入り雑誌『パリ・イリュストレ』誌の日本特集号(1886年5月)
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モネのジャポネズリー作品

モネは多くの浮世絵を収集していたことが有名です。
クロード・モネ財団 によると、喜多川歌麿(1753-1806)の版画46点、葛飾北斎(1760-1849)の版画23点、歌川広重(1797-1858)の版画48点、合計117点がジヴェルニーのモネの家に保存されているそうです。
モネのジャポネズリー(Japoneserie)作品で有名な「ラ・ジャポネーズ」。
どこかでこの作品を見かけた方も多いのではないでしょうか?
これは妻カミーユに日本の着物を着せ、フランス国旗の青・白・赤の扇を持たせ、西洋と日本趣味2つの側面を持ち合わせた作品です。
ただ、この作品は日本美術の構図などの影響を受けているわけではなく、あくまで日本的なモチーフを作品に取り込んだジャポネズリー作品で、ジャポニズムの作品ではありません。
ちなみに後にも先にもジャポネズリー作品はこの1点のみです。
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モネのジャポニズムの影響を受けた作品
これは、西洋の遠近法を修正した手法と酷似していると言われています。

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「陽を浴びるポプラ並木(1891年)」と葛飾北斎「冨嶽三十六景 東海道程ヶ谷(1830-33年)」、こちらも並べて見るとポプラの木が画面を分断している箇所が似ていますね。
こういった大胆な構図をモネをはじめとした印象派の画家たちは取り入れるようになりなり、ジャポニズムはこの時代の画家たちにより幅広い視覚表現を与えることとなりました。
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日本とフランスは美術でつながっている
このように、日本とフランスは古くから美術というキーワードでつながっているのです。
そしてそれは今でも続いています!
フランスでは日本の漫画・アニメが大人気でジャパンエクスポという日本文化の総合博覧会も毎年のように行われています。(今年は開催予定ですが、コロナでどうなるか分かりませんが・・・)
また、フランスでは日本美術(浮世絵や工芸品など)の美術展も頻繁に開催しています。
日仏、国境を超えてアートで繋がっている、というのは本当に素敵ですね!