2020年に引き続き、世界はコロナウィルスの話題で持ちきりですが、このコロナウィルスはアート界にどのような影響を与えたのでしょうか?
コロナ時代に生まれたアート
フランス、ニース出身のストリートアーティストであるTOOLATEさん(アーティスト名)は、「Les masques des “50 connards”(「50人のクソ野郎」のマスク)」という主題でパリのストリートで街中に捨てられ、放置されたマスクを作品として展示しました。
EXPOSITION
— TOOLATE street artist (@newsfromtoolate) November 17, 2020
Pour les confinés, jusqu’au 1 er décembre, venez découvrir 50 œuvres uniques dans les rues de Paris.
Merci aux connards pour leurs contributions, sans qui, ces 50 masques trouvés par terre n’auraient jamais pu être exposés. Plus d’infos sur Instagram @newsfromtoolate pic.twitter.com/7lMLPEsQPx
写真のように、実際に歩行者が通りに投げ捨てたマスクを額に飾り、街の通りに展示。
コロナ対策で、フランスではマスク着用義務化となりましたが、パリを含め、フランスの多くな街では残念なことにマスクのポイ捨てなどの常識を欠いたマナー違反が横行しています。
(現在は罰金が強化されたことにより、昨年よりは減ってきました)
Photo © Toolate / Twitter
このアーティストは、このアートの目的をこのように語っています。
(マスクのポイ捨ては、)街の通りを清掃する人々にとっても危険だし、海までもしかしたらたどり着いてしまうかもしれない。そこで私は、このテーマを芸術作品のように組み立てることによって、常識外れなこの行動(ポイ捨てのこと)を撲滅にするという考えを至りました
引用元:https://france3-regions.francetvinfo.fr/paris-ile-de-france/paris/street-art-masques-jetes-rue-50-connards-affiches-paris-1899582.html
コロナがアート市場に与えた影響
先のようにコロナウィルスの状況があってこそ誕生したアートもありますが、このウィルス、アート市場にはどのような影響を与えたのでしょうか?

Photo ©https://www.artsy.net/article/artsy-editorial-collectors-art-market-2021-report, Sales in the Global Art Market 2009–2020. © 2021 Arts Economics.
Arts Economicsのクレア・マカンドリュー氏による「 The Art Market 2021(2021年のアート市場、PDFは英語)」レポートによると、オンライン販売額は、2019年の60億ドルから2020年には124億ドルへと倍増しました。 また、2019年のアート市場全体の9%を占めるようになり、2020年には全売上高の4分の1になり、すべての売上高に占める割合は2倍以上になったことがわかります。
引用 ©https://www.artsy.net/article/artsy-editorial-collectors-art-market-2021-report
続けて、クレア・マカンドリュー氏は2020年にコロナの影響でギャラリーの経済状況が悪化したことを踏まえ、「ギャラリーは今年の後半にそれを見事好転させました。人々は、これらの問題のいくつかをより長く抱えて生きることになり、デジタルマーケティングとデジタル販売の観点からそれを強化しなければならないことに気づいたのです。」とも述べています。
引用 ©https://www.artsy.net/article/artsy-editorial-collectors-art-market-2021-report
つまり、このパンデミックの状況になったことで、アートギャラリーはオンライン販売に以前よりも積極的になり、さらにオンラインでアート作品を購入する人が多くなったということが分かります。
コスト削減と立場の安定
さらに、2020年多くのアートギャラリーは見本市やアートフェアがコロナパンデミックの影響で中止を受けたことにより、こういった費用のコスト削減に成功し、小さなアートギャラリーはこれらのコストを削減することで、立場を安定させました。

Photo ©https://www.artsy.net/article/artsy-editorial-collectors-art-market-2021-report, Sales in the Global Art Market 2009–2020. © 2021 Arts Economics.
グラフを見てみると2020年は2019年に比べて、コストが26%から16%と、10%も削減されたことが見てとれます。
「旅行や見本市など、これらすべての費用を回収できるという事実は明らかに大きかった」とマクアンドリュー氏。「しかし、人々を楽しませ、大きなオープニングやディナーなど、私たちの在否にかかわらず、ギャラリーの運営に伴うすべてのことを行います。小規模なギャラリーの場合、これらの費用は旅行やすべてに加えてかなりの額になります。それらを削減することで、彼らは自分たちの立場を前年よりも安定させることができました」
引用 ©https://www.artsy.net/article/artsy-editorial-collectors-art-market-2021-report
今後の展望は?
レポートによると、従来のアート市場の多くは過去1年間、少ないペースで運営されてきましたが、非代替トークン*(NFT)の市場は、OpenSea、Nifty Gateway、SuperRareなどのデジタル市場で急激な成長を遂げています。
引用 ©https://www.artsy.net/article/artsy-editorial-collectors-art-market-2021-report
* 非代替トークン(NFT):ブロックチェーンと呼ばれるデジタル台帳上のデータの単位のこと。ビットコインなどの仮想通貨とは異なり、トークンに唯一無二の価値を持させることができる。
これらの成長は、技術的な問題によって長い間妨げられてきたアート市場のセクターのロックを解除するのに役立つ可能性がありますとマカンドリュー氏は分析しています。
コロナによってアート市場も他の市場と同じように大きな影響を受けましたが、見方を変えるとアート作品をよりオンライン上に押し出す動きが高まり、今まで従来のアート作品の販売の仕方に加えて見直し、改善していく部分も浮き彫りになったことがわかりました。確かにテレワークやオンラインミーティング、リモート授業など、このパンデミックが起こったことで、オンラインを上手く利用したサービス・働き方が増えたことも事実です。こういった事実はポジティブに受け取って、これからもアート市場が盛り上がっていくことを切に願います!